飲食店で長く繁盛し続けたいのであれば、常連客となるリピーター客の獲得は不可欠だ

リピーター客獲得_繁盛店

なぜ、リピート客の獲得が必要なのか?

常連客があふれる繁盛店は、経営者であれば誰でもうれしいことだが、飲食店経営においてリピーター客の獲得が必要ないちばんの理由は、売上の安定化につながるからだ。リピーター客が増えれば、増えるほど売上の下振れが減り、経営が安定してくるからだ。また、新規客獲得に使っていた販促費用の削減にもつながるため、結果として利益アップにも大きく貢献する。
一般的に飲食店の客層は、新規客が3割、リピート客が7割だといわれている。開業当初は新規客が中心となるが、徐々にリピート客を獲得することで、お店のお客さまの7割程度がリピーター客になる。逆に開業当初からリピーター客の獲得に苦戦するお店は、売上が徐々に減少し、開店1年以内に閉店にいたる結果となる。

何もしなければリピーター客が減ってくる事実

一般的に新規客が、次回にリピーター客として来店してくれる確率は、40%程度だといわれている。つまり、何もしなければ、初回来店したお客さまの60%を、何らかの理由で失うことになるのだ。そして、基本的には失ったお客さまは、二度と戻ってこないのがと考えたほうがよい。まずはこの事実をきちんと理解し、少しでもお客さまの流出を防ぎ、リピート客の獲得につなげる方法を実践する必要がある。

飲食店再来店率

では実際、お客さまはどんな飲食店だったらまた来たいと思うのかを把握するため、日経レストランが実施したオンラインアンケート調査の結果を見てみたい。

来店したい理由の第1位は、「料理やドリンクへのこだわり」

「あなたがはじめて利用したお店にまた行きたいと思うのは、どのような時ですか」という質問に対して、上位5位までの回答は以下の通りとなる。
・1位・・・「料理やドリンクにこだわりを感じた」(62.3%)
・2位・・・「飲食代金が想定内の金額で済んだ」(51.7%)
・3位・・・「店内やトイレが清潔だった」(35.3%)
・4位・・・「一緒に利用する相手との会話が盛り上がりそうなお店だから」(28%)
・5位・・・「ドリンクメニューの品ぞろえが豊富だった」(26%)

出典:日経レストラン オンラインアンケート調査結果

リピーター客獲得のための7つの実践方法

上記のお客さまの声を参考にしつつ、以下にリピーター客獲得のための実践方法をまとめてみた。効果に時間がかかるものもあるが、どれもお金をかけずにできる方法だ。

1.お客さまの共感を呼ぶストアコンセプトをつくる

ストアコンセプトは、「商品」、「接客」、「空間」の組み合わせで実現する。

はじめて利用したお客さまが。いちばんに重要視するポイントとしてはやはり「商品」である。お店がおすすめする看板料理や食材や料理へのこだわりを伝えることで、味とこだわりに対してお客さまに共感してもらうことで再来店につなげる。
また「空間」づくりにもこだわりたい。飲食店に来店されるお客さまは「商品」だけでなく、その店舗でしか体験できない「コト」を期待している。回転寿司屋のチェーンが実施している「解体ショー」だったり、スペインバルのライブショーなどだ。店舗空間を盛り上がるイベントを開催すれば、お客さまの会話も盛り上がる。

2.明朗会計であること。ドリンクや料理の追加オーダーの催促は行わない

「飲食代金が想定内の金額で済んだ」がアンケート結果の第2位に入るのは正直、意外でした。一般的にお客さまは、お会計支払時にそのお店の総合評価としてCP(コストパフォーマンス)を判断することが多い。どんなに楽しく、おいしく時間を過ごしたとしても、お支払時に支払金額が、想定より多かった場合には満足度が一気に下がる傾向にある。
そのための対策として、料金が明確になっていることが重要だ。特にお通し代やサービス料を黙って料金に計上している場合やクレジットカード使用時に利用料をお客さまの負担にしている場合などは、できる限り事前にお客さまに伝えるなどの対策が必要だ。

その上で店舗経営として悩ましくなるのが、ドリンクが空いてる際に追加オーダーをお客さま聞く「アップセル」というマーケティング手法に近い声掛けだ。
アップセルは、何かを購入した際に別な商品をさらに勧めるという手法でマクドナルドの「ご一緒にポテトはいかがですか」が有名なフレーズだ。このアップセルを使えば、確実に客単価は上昇するが、その半面、お客さま側は想定以上の購入につながり、予算オーバーになりやすくなる。上記のアンケート結果を考えると、「空いたグラスや皿は速やかに下げるが、追加オーダーの催促は行わない」を接客の原則とすべきだろう。

3.店内やトイレを常に清潔にする。特にトイレは重要

「店内を常に清潔にすること」は、店舗運営の基本中の基本であるが、そこそこの繁盛店であっても、バックヤードやキッチンやトイレなどで、お客さまの目の届くスペースなのに、清掃が行き届いていないケースが見受けられる。特にトイレは重要だ。なぜなら、女性が飲食店を選ぶ際に重視するポイントとして「トイレの清潔さ」がいちばんに挙げているからだ
トイレは、お客さまが席を離れて、唯一ひとりになれる空間である。その空間が快適であればあるほど、お店の居心地がよくなる。最近では、無料で利用できるマウスウォッシュや爪楊枝、脂取り紙などをトイレに設置するお店も増えてきているのでこういったおもてなしがお店の好意をもってもらえるきっかけとなる。

4.名物スタッフや看板娘を育てる

看板スタッフ_笑顔.

飲食店であれば、必ず看板となる店長やスタッフの存在が必要だ。個人店であれば、オーナー自身が看板スタッフであることが多い。
常連客が来店するのは、居心地も重視しているが、好きなお店に行くいちばん理由は、好きなスタッフがいるからだ。気心しれたスタッフが働くお店は、家庭での食事と一緒だ。
安心してくつろげる空間で食事をしながら、スタッフとの何気ない会話が楽しい。そんな理由で常連客となるケースがほとんどだ。たとえば、「レストランザクロ」(日暮里)の名物店長やHooters(フーターズ)やメイドカフェの女性スタッフなどが事例であげられる。
看板スタッフの採用・育成は時間がかかるため、まずは店長やオーナー自身が広告塔になるような店舗ブランディングが創業時は大切となってくる。

5.スタンプカードや割引券を配布する

リピーター客獲得のための王道は、次回来店時に使える割引券や次回以降の特典につながるスタンプカードだ。割引券は「価格」を魅力に次回来店を呼びかける手法で、ファストフードなどのランチなどの日常食を提供するお店だと効果が高い。ただし、価格重視のお客さまのみがリピーターになるため、割引券などの特典がなくなると来店しなくなるため、長期的にはお店の常連になる可能性は低い。
今後、リピーター客を常連客になってもらうことを考えると、宮崎料理の居酒屋チェーン店の塚田牧場のお客さま名刺カードなどがユニークで参考になる。来店回数によって名刺をプレゼントしてもらい、主任からスタートし、2回の来店ごとに昇進し、名刺の役職が変わるユニークなサービスだ。当然、出世すれば特典サービスを受けることができる。自主的にお客さまの来店動機を高めることができるアイデアがすばらしい。

6.お客さま退店時には印象づけとなるあいさつを心がける

飲食店の接客でもっとも重視しなければいけないのが、あいさつだ。なぜならお店の印象を決めるのは「入店時」と「退店時」の印象だからだ。行動心理学では「ピークエンドの法則」という考え方がある。「ピークエンドの法則」とは、人が体験や出来事の良しあしの印象を決めるのは、「ピーク(最初)」と「エンド(終わり)」の情報であるという考え方だ。映画のラストシーンが記憶に残りやすいのもこの理由だ。
つまり、お客さまが来店してから退店するまでの中で最も好感を持ってもらえるタイミングが「入店時」と「退店時」となり、その際のあいさつの印象次第で来店率も大きく異なってくる。店長みずから店外までお見送りしてあいさつするお店とバイトが小さな声で「ありがとうございました」とあいさつするお店とどちらか行きたいか考えてもらえれば明白だろう。

7.次回イベントを伝え、来店することを潜在意識に刷り込む

会話上手な店長やスタッフが自然とお会計時や退店時に実践している魔法のフレーズがある。

「次回、いついつに何をやるのでぜひ来てください。約束ですよ、次回来店お待ちしています。」

一見、何の変哲もないあいさつであるが、会話の中でお客さまから「小さな約束」をもらうことがポイントとなる。なぜなら、人は、約束したことを守りたくなる性分であることから、その場でお客さまから「行くよ」とよい返事がもらえれば、かなりの高い確率で次回来店への刷り込みが行えるだ。これは「コミットメントと一貫性」という考え方のひとつだ。

実際、私が利用していた美容室の担当さんもこのフレーズの応用をよく活用していた。「次回はいつ頃が髪の切り時です。○日前後でお待ちしております」と言われると、その時期になると、不思議と美容室に行かねばと、ぼんやり思うものだ。「お客さまの将来の行動に対して予告してあげること」で潜在意識に来店することを前提に刷り込むことができるフレーズを考よう。お客さま退店時のあいさつ時に「小さな約束」をとりつけることで、来店率アップにつながる。

以上、飲食店のリピーター獲得のための7つの実践方法をまとめてみました。

集客にお困りの経営者や店長の方、集客・売上アップにつながる販促・マーケティングを支援します。
ぜひ問い合わせフォームより無料相談をお問い合わせください。