居抜き開業ノウハウ

インターネットの普及とリーマンショックが飲食店開業の主流を変えた

リーマンショック以前の飲食業界の背景

飲食業界の全体的な背景として、飲食店のお客さんとなる人口は、すでに1995年をピークに減り続けています。

外食市場のピークは1997年だったと言われています。現在では、ピーク時に比べ2割以上、飲食業界全体の売り上げが減少しています。

しかし、その一方で、1997年以降も飲食店の出店数は増え続けていました。お客さんとなる人口は増えないのに、お店の数だけが増え続ける供給過多の状態だったといえます。

2003年には、初めて廃業数が出店数を上回るという異例の事態が起こりました。それからも、廃業率は高い水準で横ばいを続けています。

2006年には、賃料や食材費の高騰もあり、飲食業界にとっては厳しい状況が続きました。

リーマンショック以前には、飲食業界自体が、すでに弱りきっていたと言えます。

居抜き開業の増加はリーマンショックがキッカケ!

2008年に起こったリーマンショックが、飲食業界に追い打ちをかけました。世間では「飲みひかえ」の傾向が広がり、特に居酒屋系の業態のお客さんが、大きく減少しました。

リーマンショックの影響から、急に経営が成り立たなくなってしまったお店が増え、景気が良くなる見通しもないのに、飲食店の物件だけが大量にあまっている状態でした。

ついこの間まで営業していたお店なので、内装も厨房設備も、そのまま使える状態で残っています。残置物を撤去するには、お金がかかります。

そこに目を付け、店舗の造作物(内装、厨房設備、家具など)を不動産仲介とは切り離して、中古商品の売買をするように「造作物売買」を専門的に扱う業者が続々と増えました。

造作物売買に関しては、不動産仲介と違い、今のところ資格や免許が必要ありません。そういった理由から、不動産屋さん以外でも「居抜き」を扱う業者が増えています。

こういった、造作物売買を専門に扱う業者が出てきたことと、インターネットの本格的な普及が結び付いて「居抜き物件」という言葉が広く認知されるようになりました。

今まで資金のハードルが高くて、開業に踏み出せなかった人も居抜き物件なら、低コストで開業できるということが話題となり、今では、東京都内で飲食店開業する半数以上が、居抜き物件で開業するというほど、居抜き開業が主流となっています。

これは、閉鎖的だった不動産業界にも、飲食店開業にも革命を起こしたと言われています。