外国人観光客

増え続ける外国人観光客の集客するには

もうターゲットは日本人だけじゃない

日本中どこに行っても、外国人観光客を見かけない場所はありません。公共交通機関の表示も、いつの間にかローマ字表記だけでなく、中国語や韓国語まで当たり前のように表示されるようになりました。

2013年に外国人観光客が1000万人を突破して以降、急激に増加し当初の政府目標、2020年に2000万人の誘致は、あっさりと昨年の2016年10月時点で2000万人を突破してしまった。

政府の新たな目標として2020年の東京オリンピックの年には4000万人の外国人観光客の誘致を目標としています。しかし、この調子でいけば2030年に6000万人という目標も、2020年の時点で達成してしまうのではないかとの見通しだと言われています。

国の政策として「ビザ発給要件の緩和」「Wi-Fiの普及」「免税店の拡大」に力を入れていることから今以上の速さで外国人観光客が増えると予測できます。

今後、さまざまな面からインバウンド需要への対策が必要になります。

※インバウンド:外国人が日本を訪れることの意味。

 

外国人旅行者数推移

参照元:日本政府観光局(JNTO)報道発表資料より
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/20161102_2.pdf

遅れてるインバウンド需要への対応

外国人観光客が増えることは喜ばしいことですが、急激な増加で対策が追いついていないのが現状です。

宿泊施設では部屋数が足りなくなってしまい、民泊にも頼らざる得ないのが現状です。ホテル等の宿泊施設の容積率に関する制度の見直しが必要となっています。

外国人観光客対応が間に合っていないのは宿泊施設だけではありません。飲食店もまたインバウンド需要に対応できていないのが現状です。

観光客の衣・食・住(3大要素)「ショッピング、食事、宿泊施設」といわれるように、観光客にとって飲食は重要なポジションにあります。

外国人観光客が飲食店を選ぶ基準と日本人のお客さんが飲食店を選ぶ基準は少し違うのです。

外国人観光客のお客さんは、美味しさ以上に「オーダーのしやすさ、支払いのしやすさ、珍しさ」を求めて入店しています。

そのことから、外国人観光客には「入りずらいお店」と「入りやすいお店」があります。その特徴と対応策をご紹介します。

外国人観光客が入りずらいお店の特徴

  • インターネット検索でお店の情報が見つけられない。
  • お店の外からは、どんな料理が食べられるのかがわからない。
  • クレジットカードが使えない。または、使えるかわからない。
  • Wi-Fiがつかえない。

あなたが、海外旅行に行った時のことを考えてみてください。きっと外国人観光客の気持ちがわかるはずです。

「こんなお店には入りずらい…」というお店がありますよね? あなたのお店も「入りずらいお店」になっていませんか?

インターネットで検索できないお店には来店しない。

外国人観光客のほとんどは、事前にインターネットなどで調べてから来店する目的来店がほとんどです。

「入りにくい」「入りやすい」以前にインターネット上で見つからないお店は認知すらされていません…。

日本人のインターネットの活用は、他の先進諸国と比べて大きく遅れていると感じます。

「国別インターネット使用時間」の資料によると日本人のパソコン、携帯・スマートフォンの使用時間はダントツで少ないことがわかります。

外国人は日本人以上にインターネットを使っているのです。旅行先に関する情報収集もインターネットからの影響が強いといえるでしょう。

 

資料:国別インターネット使用時間

国別インターネット使用量
参照元:THE WORLD BANK
元データ:We are social

このことから、外国人観光客の集客にはホームページやソーシャルメディア、YouTube動画などが重要な集客手段になるのです。立地による影響はそれほど関係がないのです。

通りすがりの外国人観光客を集客する方が難しいといえます。観光地のど真ん中でないかぎりは期待できません。

むしろ、秘境であればあるほど「珍しさ」を求めて行ってみたくなるのです。

「珍しいモノ」をソーシャルメディアで自慢したい

ソーシャルメディアの活用は、外国人観光客を集客にかかせません。

「国別ソーシャルメディア使用時間」の統計を見るとダントツで使用時間が短いのもまた日本人だけのようです…。

日本へ来る観光客として多い「韓国、中国、アメリカ、香港、タイ」の人たちは、日本人の倍以上の時間をソーシャルメディアにかけていることがわかります。

外国人観光客を集客するのであれば、このことは考慮するべきです。

外国人観光客はソーシャルメディアに珍しい場所やモノ、料理など写真や動画を投稿して友人に自慢したいのです。

ソーシャルメディアの普及から、観光する目的は「行くこと」だけでなく「写真を撮ってシェアすること」に変わってしまったように思います。

 

資料:国別ソーシャルメディア使用時間

国別ソーシャルメディア使用量
参照元:THE WORLD BANK
元データ:We are social

ソーシャルメディアに投稿したいメニューやパフォーマンスが必要

飲食店での外国人観光客への対策として、ソーシャルメディアでシェアしたくなる料理やパフォーマンスを用意すると効果的です。

お店に来店した人がソーシャルメディアに写真や動画を投稿してくれることにより、情報がひとりでに拡散されていくのです。

外国人のソーシャルメディアを利用している時間を考えれば、ソーシャルメディアの情報は影響力が大きいことがわかります。

外国人観光客の間でソーシャルメディアから火が付いた京都のお店「めん馬鹿一代」はまさに外国人観光客をターゲットにして成功しているお店です。

「めん馬鹿一代」の一番のウリは、ファイヤーラーメンです。お客さんの目の前で炎が上がるYouTube動画が外国人観光客の間で話題となり、まさに火が付いたお店です。


参照:めん馬鹿一代

ソーシャルメディア上でトロトロのオムライスで有名になった「ザ・洋食屋 キチキチ」こちらも京都のお店です。

お客さんがソーシャルメディアに投稿したくなるパフォーマンスを提供しています。

お客さんの目の前で、トロトロのたまごを割るシーンはまさにシズル感たっぷりの絵になります。


参考:ザ・洋食屋 キチキチ

このように、すでに外国人観光客を集客に成功しているお店はソーシャルメディアで情報拡散してもらうことを想定して、ソーシャルメディアに投稿したくなるメニューやパフォーマンスを用意しています。

ソーシャルメディアを意識したメニューやパフォーマンスは、外国人観光客を集客するためには重要なのです。ソーシャルメディアを活用することによって、あなたのお店の情報が拡散し、宣伝広告になるのです。

外国人観光客は看板を見ても何屋さんかわからない

看板

通りすがり客を集客をするのに看板の役割は重要です。看板ひとつで集客できるかできないか、大きく分かれてしまいます。

外国人観光客に限らず、日本人にも紛らわしい看板は多くあります。

「おいしそうな焼き鳥屋さんかと思ったら、眼鏡屋さんだった…」とか

「オシャレなイタリアンかと思ったら、美容院だったとか…」

このような経験はありませんか?

外国人観光客にとって日本語だけで書かれた看板を見ても、何かの記号の羅列にしか思いません。「なにが食べられるのか?」「美味しいのか?」は、全く伝わりません。

おそらく「かつ丼」か「そば」か「ラーメン」のどれかが食べれのであろうと思ってるに違いありません。

だからといって英語の看板にすれば来店するのかということではありません。考えてみてください。

もしあなたが海外旅行に行って、日本語で書かれた看板のお店に入りたいと思いますが?

私は入りません! 日本に来る観光客も同じです。

むしろ、日本をドップリ味わえるお店に入りたいというのが本音です。ただ、そういったお店は外国人観光客にとっては見つけづらいのです。

だから、ぶなんなチェーン店を利用してしまうのが実情なのです。

どんな料理が食べられるお店なのか一目でわかるように、看板には写真やイラストをいれましょう。たとえ文字が読めなくても、容易に想像ができます。

何が食べられるのか想像がつかないお店には、外国人観光客は入店しません。

写真は世界共通語

飲食店を探しているお客さんは、お店の名前を知りたいわけではありません。このお店で何が食べられるかさえ分かれば、それでいいのです。

お店の名前なんか読めなくても、お目当ての料理が美味しく食べられるお店であればいいのです。

言葉がわからなくても何が食べられるのかを正確に伝えられるのは写真です。おいしそうな写真は、世界共通言語です。

写真を用意しておくだけで何が食べられるのかわかりますし、言葉のわからないお客さんも、お店の中に入って何を注文すればいいのかを事前に理解できるのです。

言葉が自由に通じない外国人にとって「注文のしにくさ」は大きな来店障壁になります。

料理の写真やディスプレイ、価格帯など表記することで、まずは来店することへの障壁を下げることができます。

写真だけの「おすすめメニュー表」をつくる

外の写真と同じ写真がメニュー表にあれば、大半のお客さんは、その写真の料理を注文します。

日本語が読めないので基本的に写真のない料理は注文できません。

だからといって、全て英語表記にすればいいという問題ではありません。英語にすればするほど、美味しさが感じられなくなってしまいます。

日本語がわからない外国人観光客用に写真だけの「おすすめメニュー表」を作っておくと間違いなく、そのメニューから注文します。

メニュー表に必要な要素は

  1. 料理の写真
  2. 想像できる英語の料理名
  3. ポーク、チキン、ビーフ、フィッシュ、ベジタリアン、ビーガンの記載
  4. 値段
  5. 番号

以上の4つさえ満たしていれば十分です。

写真があれば、料理の名前は「ご飯」なのか「麺」なのか、「甘い」のか「辛い」のかそれだけ分かれば、食べたいか食べたくないかの判断ができます。

他に知りたい情報はメインの食材が「ポーク」なのか「チキン」なのか「ビーフ」なのかということです。これは宗教的に食べられない人もいるので必要です。

アレルギーが想定される、シュリンプ、クラブ、ピーナッツも使っているようであれば、記載したほうがよいでしょう。

値段はもちろん記載しなければなりません。意外と忘れがちなのはメニューに番号をふることです。

英語で料理名を記載しても外国人観光客といっても、全員、英語がしゃべれるわけではありません。全くしゃべれない人もいます。

それなのに、英語の料理名を長々と読ませるのは親切ではありません。

そこで、番号を振ることによって、たとえ料理名が読めなくても「No.1」とか「No.2」といった番号で簡単に注文できるようになるのです。

カード払いはグローバルスタンダード

デビットカード

日本では、まだまだ現金での支払いの主流ですが、世界的にはカードでの支払いを主流にする方向に動きつつあります。

日本だけガラパゴスかしている理由は、ひと昔前まで銀行がカード事業に参入できなかったことや貸金法、割賦販売法など要因があるからのようです。

日本では、最近ようやくデビットカードが出回りはじめましたが、海外では以前から当たり前のように使われています。

クレジットカードと違い、信用調査がないのため銀行口座さえ持っていれば、誰でも持つことができるのです。

中国の人たちが、爆買できるのもこのデビットカードが普及しているからです。大金を持ち歩く必要がないのです。

デビットカードがあれば、クレジットカード同様、世界中どこでも使えます。

現金を持つ必要がありません。しかもポイントも貯まります。提携先で買い物をした場合は、割引があったり、むしろ現金で支払うよりお得なのです。

海外旅行の際は、盗難や紛失を懸念して、あまり現金を持ち歩かない方がよいとされていため、最小限の現金しか持ち歩かず、カードでの支払いだけで済ませる傾向にあります。

そのため、カードで支払えないお店は利用しないと考える観光客も少なくありません。

カードで支払えないというだけで来店障壁になってしまうのです。

最近では、月額費用も必要のないスマートフォンにつなぐだけの簡単な端末もあるようなので、取り入れてみてはいかがでしょうか?

Square-クレジットカード決済端末

参照元:Square 公式サイト(https://squareup.com/jp

Wi-Fiがあるところに観光客は集まる

wifi

直接的に「入りにくさ」とは関係ないかもしれませんが、外国人観光客はなるべくWi-Fiのつながるお店を選びます。

日本では、まだまだ、Wi-Fiのつながる環境が少ないため、Wi-Fiがつながる場所は、友人と連絡をとったり、次の行き先を検索したりするための重要な場所なのです。

飲食店がWi-Fi環境を整えておくメリットは、外国人観光客のお客さんが、その場でソーシャルネットワークに投稿してくれることです。

時間がたってしまうと興奮も冷めてしまい、その時はいいと思った写真も投稿されなくなる可能性があります。

お店で撮った写真を、その場でソーシャルメディアに投稿してもらえる環境を整えることは、お客さんがお店を宣伝してくれる機会損失をなくすことにつながるのです。

まとめ

  • 2020年に向けて増え続ける観光客への対応が必要
  • インターネットで見つからないお店は「入りにくい」以前に認知されていない
  • 外国人観光客の集客には、ホームページやソーシャルメディア、YouTube動画が効果的
  • ソーシャルメディアで投稿したくなるような「珍しい」メニューやパフォーマンスが外国人観光客を集客する肝
  • 写真があるだけで、入店障壁と注文のしずらさを解消できる
  • カードで支払いできないだけで、利用されない可能性がある
  • Wi-Fiが使える場所は、外国人観光客の重要な拠点