居抜き開業ノウハウ

契約後に気づいたのでは、もう遅い!

居抜き物件とは、何か問題があって、前のお店のオーナーが出て行いってしまった物件です。

経営がうまくいかなかったという場合が多くの理由かもしれませんが、それ以外にも、物件に問題がある場合や近隣とのトラブルが問題で、前のオーナーは物件を手放した可能性もあります。

居抜き物件だからこそ起こるトラブルは数え切れません。

せっかく低コストで開業ようと居抜き物件を選んだのに、多大な工事費用がかかってしまったり、最悪の場合には、他のお店にまで迷惑をかけることになり、損害賠償問題までつながりかねません。

契約してしまった後で気づいたのでは、もう遅い!失敗しない居抜き物件選びのために、物件契約する前に、必ずチェックしておくポイントをおさえておきましょう!

失敗しない居抜き物件、7つのチェックポイント!

  1. 水漏れの心配がない物件か?
  2. 排気・給気設備は適切な物件か?
  3. 電気メーター、ガスメーターは適切か?
  4. リース契約の設備はないか?
  5. グリストラップはあるか?
  6. 防水工事されているか?
  7. あなたのストアコンセプトに合った物件か?

 

1. 水漏れの心配がない物件か?

居抜き物件で起こるトラブルで最も多いのが、水漏れのトラブルです。自らが加害者になってしまう場合もありますが、被害者になる可能性もあります。それらを踏まえて、水漏れに関しては2つの視点で確認が必要です。

1つは、加害者にならないために、厨房の排水に問題がないかを確認しておく必要があります。

水漏れが起こる原因は、厨房の排水が詰まりやすいからです。クリーニングが行われていなくて詰まってしまうという場合もありますが、排水管が細かったり、水が流れる角度が適切に取れていないといった、設備工事自体に問題がある可能性があります。

定期的にクリーニングをすればよいのですが、あまりに頻度が高いのでは、維持費がかさんでしまいます。これでは、居抜き物件を選んで、低投資で開業した意味がなくなってしまいます。

2つ目は、水漏れの被害にならないかのチェックです。上の階が飲食店の場合は要注意です。外壁の老朽化により雨が入って来てしまう場合もあります。天井裏の確認や外壁の確認は必須です。

しかし、専門知識が必要なため、初めて開業する人が見ただけでは、わかりません。必ず内覧の際に、専門業者の方を連れて、一緒に確認をしてもらうことをおすすめします。

 

2. 排気・給気設備は適切な物件か?

煙を処理する排気設備の問題で、近隣とのトラブルを起こすというケースが頻繁にあります。

特に重飲食店を開く場合は、「音」と「臭い」には気を配りましょう。適切な排気設備が整っているかどうかを慎重に確認する必要があります。

喫茶店などの軽飲食店では、換気扇だけでこと足りてしまうかもしれませんが、重飲食となると別の話です。重飲食店では、屋上まで配管ダクトを取り付け、大型のモーターで屋上から、煙や臭いを追い出す必要があります。

しかし、重飲食店を開きたいのに、十分な排気設備が整っていない居抜き物件だったらどうでしょうか?自分で取り付けるしか方法はありません。設備工事に100万円場は確実にかかるでしょう。

炭を使う業態や、窯で焼くススが出るような業態は、煙突で排気する必要があったりと業種・業態によっても必要設備が変わってきます。

自分がやりたい業種・業態に合った、設備なのかどうかも確認する必要があります。

 

排気と一緒に確認が必要なのは、給気設備です。入口の扉が重かったりり、すきま風が「ピューピュー」音を立てていたり、店内までトイレの臭いがするような場合は、給気が足りていない物件です。

給気設備がない場合は、後から工事が必要な物件です。

大型モーターなどを使って、強制的に店内の熱や煙、臭いを外に出しているため、店内は空気が足りない状態になっています。

室内は排気した分の空気を取り戻そうと、外とつながっている、あらゆる場所から全力で空気を取り入れようとします。

トイレの排水管なども例外ではありません。排水管にたまった臭いまで一緒に室内に取り入れてしまうことになります。

扉や窓を開けっぱなしにしておけば、とりあえずの対処はできますが、夏はクーラーが効かず、冬は暖房が効かなくなってしまいます。そんな居心地の悪いお店にお客さんは来るでしょうか?

排気設備と合わせて、給気設備の確認も要チェックです!

 

3. 電気メーター、ガスメーターは適切か?

同じ飲食店でも、業種・業態によっては、違った設備が必要です。

喫茶店などの軽飲食店であれば、出来合いの料理を温めで出すだけだったりと、手の込んだ調理をする必要がないため、食材をストックしておく冷蔵庫も多くは必要ありません。

しかし、同じ物件を居酒屋さんや、ラーメン屋さんに変えるとなると、使う厨房設備の数も増えてきます。食器洗浄機など電気を使う機械が増えれば、今の電気容量では足りなくなってしまう可能性があります。

ガスの設備にも同じことが言えます。住宅用の容量では、居酒屋さんやラーメン屋さんを開くには容量が足りません。

物件によっては、電気メーターやガスメーターを容量の大きいものに変更する必要がでてきます。

あながたに必要な造作設備があるかどうかの確認も必要ですが、電気やガスの容量がそもそも足りるのかどうかもしっかり確認してください。

見落としがちなポイントですが、あとあと、大きな出費にならないよう要チェックです!

 

4. リース契約の設備はないか?

内覧の際に、必ず準備しておくものは、造作物のチェックリストです。売り手側が作成してくれている場合もありますが、買い手側の方も、後で言った言わないのトラブルにならないよう、チェックリストを作成しておきましょう。

造作物の確認の際に注意が必要なのは、リース契約の設備です。厨房設備は高価なものが多いため、リース契約しているものが多いです。一見たくさん造作物があるように見えても、ほどんどリースの設備だったという場合もよくあります。

リース契約の設備を引継げるかどうかは、リース会社によって違いがあります。残っているリース期間をそのまま次の入居が引き継いでもよいという場合もありますし、前オーナーが完済してから、次の入居者と新たにリース契約を結ぶという方法をとったりと、リース会社により条件はバラバラです。

必ず、売り主である前オーナーにリース会社へ確認するよう催促してください。リース設備の取り扱いを明確にしておきましょう。

リース契約の設備だけでなく、必要な造作物とそうでないものを明確にして、いらないものに関しては、誰が処分するのかどうかを明確にしておく必要があります。

あとあと、トラブルの原因にもなりますので、売り主、買い主ともに、造作物チェックリストを共有して造作物の所在を明確にしておきましょう。

 

5. グリストラップはあるか?

軽飲食店では、家庭用の排水設備でことが足りてしまう場合がありますが、居酒屋、ラーメン店など、油や粉が排水として出す場合は、グリストラップの取り付けの義務があります。

グリストラップとは、排水中の生ごみや油脂などを直接下水道に流さないために一時的にためておく設備です。

居酒屋を開きたいのに、グリストラップがない居抜き物件では、グリストラップをあらたに取り付けるための大掛かりな工事が必要になります。

重飲食店を開きたいのであれば、グリストラップの有無は、確認しなければならないポイントです。

 

6. 防水工事されているか?

喫茶店などの軽飲食で使用する分には、厨房に防水設備が必要ない場合もあります。

しかし、居酒屋などの重飲食では、床に水を流して清掃できるようにする必要があります。そして水を流すためにグレーチングという溝を作る必要もあります。

飲食店の床の下には、基礎のコンクリートの上に水漏れを防ぐための防水層がつくられています。その上に、排水管やガス管などがレイアウトされたあと、モルタルを流し込んで厨房の床が作られています。

これらの設備工事を新たに行うとなると、多大な費用がかかります。これでは居抜き物件を選ぶ意味がなくなってしまいます。

軽飲食と重飲食店とでは、大きな設備の違いがあります。それを踏まえたうえで、あなたの業種・業態に必要な設備がそろっている物件なのかどうかを確認する必要があります。

 

7. あなたのストアコンセプトに合った物件か?

ここまで、6つのチェックポイントを見てきましたが、一番重要なことは、その物件は、あなたのストアコンセプトに合った物件かどうかということです。

実際に物件の内覧をすると、予想以上にきれいな物件で、造作物もそろっていて、この物件でもいいかも!と感じるかもしれません。

しかし、契約を決める前に一度冷静に考えてみてください!

その物件は、あなたが求めるターゲットにサービス提供できますか?

その物件は、あなたの考えた売上目標を達成できる物件ですか?

その物件は、お客さんに共感してもらえるお店がつくれる物件ですか。

一見、よさそうな物件であっても、そもそもターゲットにする客層がいない立地であったり、そもそも席数が少ないために売り上げ計画を達成できない物件であったりと、そもそもあなたのストアコンセプトに合っていない物件であれば、おそらくお店をだしたとしてもうまくいかないでしょう。

あなたが情熱を持って作ったストアコンセプト通りのお店をつくることによって、お客さんにも、あなたの情熱は伝わります。あなたの情熱が伝えることによって共感を生み、お店のファンが増えるのです。

造作設備の確認ももちろん必要ですが、最終的に本当にあなたのストアコンセプトに合った物件なのかを冷静に考えてみてください。