新規に飲食店を開業する際に必要となってくる営業許可申請の手続きの流れと営業許可申請書の記入例を紹介します。
目次
1.開店の事前相談
店舗物件が決まり、内装設計ができあがったら、店舗の内装工事着手前に、調理場が記載された店舗平面図を持参して、出店場所を管轄する保健所に開店の事前相談に行きます。事前に店舗が施設基準等に合致しているか相談に乗ってもらいます。事前相談に行くと、営業許可に必要な書類一式をもらうことができます。
営業許可の必要性
飲食店を営業するには営業許可が必要です。営業許可事務の実務については、それぞれの地域の保健所が管轄しています。ちなみに東京都港区の場合は、港区みなと保健所 生活衛生課が管轄しており、芝・高輪・芝浦港南地区なら食品監視第一係が、麻布・赤坂地区なら食品監視第二係が担当となっています。
2.申請書類の作成(営業許可申請書の記入例)
営業許可申請書(記入例 東京都港区みなと保健所)
営業の種類には業種に合わせて、「飲食店営業」または「喫茶店営業」を記入します。自店舗で調理した商品をテークアウトを行う場合でも「飲食店営業」のみで問題ありません。逆に業務用卸のサンドイッチなどを販売する場合は、「食料品等販売業」の許可が必要となることもありますので、事前に保健所への確認が必要となります。複数の営業種類の営業許可申請を、同時に申請することは可能です。
営業設備の大要(記入例 東京都港区みなと保健所)
営業設備の大要は2部作成する必要があります。大要の裏面に記載する「営業設備の配置図」は手書きで作成しても構いませんが、資料の添付で代替することができます。「付近見取図」としてグーグルマップなどの地図を印刷したもの、店舗平面図は、施工会社が作成した平面図を添付して提出することができます。
営業設備の大要(表面)
営業設備の大要(裏面)
3.申請書類の提出
以下の申請書類を、施設工事完成予定日の7~10日前に管轄の保健所に提出します。なお、実地検査日程が込み合うこともあるので、早めに申請書類を提出することをおすすめします。提出の際に、保健所担当者と打ち合わせを実施し、実地検査時の立ち合い人、連絡先などを伝え、実地検査の日程を決定します。
提出書類
個人名義の場合 | 法人名義の場合 | |
---|---|---|
営業許可申請書(1通) | 必要 | |
営業設備の大要(2通) (地図・図面含む。別添可) |
必要 | |
許可申請手数料※ | 必要(現金のみ) | |
登記事項証明書(1通) | 不要 | 必要(6か月以内のもの。原本、コピー不可) |
水質検査成績書 (1年以内のもの。写し可) |
直結給水の場合は不要。調理場等の使用水が、ビルの受水槽を通っているか、もしくは井戸水を使用している場合は必要。 | |
食品衛生責任者の資格を証明するもの(写し可) | 必要(食品衛生責任者を各店舗に設置) |
※一度、支払った許可申請料は返金されないので注意が必要です。
許可申請手数料一覧と営業の種類 抜粋(平成29年1月現在 新規開店のみ)
営業の種類 | 新規 |
---|---|
飲食店営業 | 16,000円 |
喫茶店営業 | 9,600円 |
菓子製造業 | 14,000円 |
乳類販売業 | 9,600円 |
食肉販売業 | 9,600円 |
魚介類販売業 | 9,600円 |
アイスクリーム類製造業 | 14,000円 |
食料品等販売業 | 12,300円 |
4.店舗の実施検査
事前に提出された書類をもとに、保健所の担当者が店舗の実地検査を行います。検査時に指摘された事項は、開店前までに必ず改善し、再検査を受ける必要があります。
5.営業許可書の交付
営業許可書を受け取る際には、印鑑(認印)が必要です。忘れずに持参しましょう。
6.営業許可申請手数料の処理(会計上の勘定科目)
営業許可申請料は、消費税がかかりませんので、一般的には「支払手数料(非課税)」で処理します。
最後に
飲食店を開業する際の営業許可申請の手続きの流れと営業許可申請書の記入例を紹介しました。実地検査でNGをもらわないためにも、保健所の事前相談は必ず行くようにしてください。
また、保健所の担当者の方は電話でもていねいに相談に乗ってくれますので、不明点があれば、早めに確認することが大切です。